チェンマイからピックアップトラックに揺られた6時間越えの道中、AくんというHRDCの青年が添乗していました。彼はムセキ村よりもっと北の森の中にある村出身ですが、今はHRDCで子どもたちの世話をしつつ大学進学を目指しています。
眠ってしまうと車外に転がり落ちてしまう危険があるために、彼は私たちにずっと英語で喋り続けます。ムセキ村のこと、気候や日常のこと、あれこれ他愛無いこと。その中で彼はしきりに「君たちはどんなお話を持ってるの?聞かせてほしい」と言っていたことを、あとから思い出しました。その時わたしたちは「うさぎとかめ」とかそんな昔話をぼそぼそと喋り今一つ盛り上がらなかったのですが、彼らにとって「お話」というのはとても重要であり、暮らしと密接に繋がってるなものなんだなということを感じました。そして同時に私たちが「お話」を無くしてしまったことにも気付かされたのです。自分たちの辿って来た時間や、自分たちをとりまく環境、良いことも悪いことも含めていまここにある世界を受け止める方法、それがナラティブ(物語)だと考えると、少数民族として多くの「お話」を語る彼女ら彼らは、私たちよりずっと豊かだ思いました。
あなたはどんな「お話」を持っていますか?
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by no-trafficking
| 2008-11-19 15:31